ミャンマーでも近い将来は、水道水が飲めるか?
日本は水のおいしい国として世界的にも知られています
本来、ミャンマーでも美味しい水が飲める国です
ミャンマーは水資源が豊富であるということをご存知ですか・・・
しかとながら残念なことに、お水に関して人々の意識が極めて低いのです
農村地方の人々の中には、大洪水の後でも浄化されていない地表水を飲んでしまう人もいるくらいです
このために、国や国際NGOの人たちが農村地方の人々に衛生教育に努めています
新政権に移って以来、水利用や水源の保全、水供給システムや水に関する人々の意識が政府の取り組みによって高まりつつあります
ミャンマーのこれからの展望と課題についてお話しいたします
【将来の展望】
- メンテナンスと漏水修理により水供給のロスの削減強化を図る
- 都市部での給水最適化事業を継続する
- 各都市部への給水最適化事業を継続する
- 農村部での安全な飲料水の給水最適化に努める
などが言われています
因みに、1,100万人のためのヤンゴン市2040年基本計画には、水の需要は約5億2,000万ガロン/日に達するとみられ、さらにいくつかの下水処理施設が必要と見込まれているようです
ローカルレベルの都市開発に関しては、ヤンゴン都市開発計画が日本のJICAさんの技術的・財政的サポートを受けて計画されて、都市交通、電力、上下水道、固形ゴミ管理が含まれているようです
【 課 題 】
- 居住区域及び工業区域、また、市の新開地における水の需要が高まっている
- 既存の給水及び下水システムのメンテナンス・コストが高いこと
- 給水および下水システム及び水のロスへの対処には新たな取り組みが必要
- 水及び衛生を含む農村部/都市部のインフラ用の予算が低いこと
- 低い水料金収入と高いインフラ・コスト
等が課題となっているみたいです
ミャンマーへの水関連事業
- 水処理事業
ミャンマーの人々の約4分の1は、依然として保護されていない井戸や貯水池、池、湖、河川、小川、運河、滝などの水を利用しています
すぐれた水処理技術を持つ日本の方々にとってビジネスチャンスが豊富にあるのではないでしょうか
また、新政権は、ミャンマー国民の健康状態を重要視する発言、保健省と共同により国内の保護されていない様々な水源地への投資に気持ちがあるようです
- 給水事業
小都市の開発を待って、YCDC、MCDC、ならびにNPT-DCとの協力と連携しながら順次事業を展開することが良いようです
- 浄水器および付属品の流通販売
ミャンマーの人々は日本ブランドへの注目度が高いのです
飲料用浄水を飲む習慣が都市部から全地域に徐々に広まりつつあるので水関連商品を販売するのもいいかもしれません
- 浄化飲料水の製造および流通販売
ヤンゴン市ではすでに、世帯や個人をはじめ、オフィス等公共の場で、飲料用浄水を飲む習慣が根付いています
農村部や小さな村では、池や運河の水を飲用としているのが普通ですが、地方の中核都市では、大型ショッピングセンターの進出と共にライフスタイルが徐々に変化し、周辺の村々まで浸透しつつあります
浄化飲料水の製造業者の数は、2003年の85社から2015年には719社へと増えてきていますが、依然として大きなマーケットが残されており、潜在的なチャンスがあるようです
流通している浄化飲料水は、1L入りペットボトル 20L入りポリタンクが主流です
- 環境改善事業
現状の水環境改善に関する需要としては、ほとんどがホテル、ショッピングセンター、集合住宅等の新設に付随した排水処理施設の整備のようです
ミャンマー国内で水処理設備のEPC/O&M等を実施できる事業者はまだまだ少なく、国内での資材・部品調達も限定的であるようなので、日本の水処理関連のみなさんを参入の余地が大きいのではないでしょうか
- 気 候:熱帯モンスーン気候
- 季 節:〔3つの季節〕暑季、雨季、乾季(冬)
- 降水量:〔沿岸部〕4,000~5,600mm
〔中央部乾燥地帯〕600mm、1,400mm
潜在的水資源の水量〔地表水〕1,082km3 〔地下水〕495km3
ダム/貯水池の容量(合計値) 212億8,300万m3
蒸発量1,365mm
河川への年平均流入量900mm
年間降雨量*2 沿岸地域:5,000mm
年平均降雨量*2 2,435mm
主な水源
ミャンマーの水源は大きく3つあります。主な水源は雨水です
地表水:降雨、溜め池、湖、貯水池、ダム、小川、河川、海
地下水:井戸(深井戸、浅井戸)
雨もしくは雪:(降水から直接得る)
ミャンマーは主要河川の8つの流域から豊富な地表水が得られます。
深井戸(本) 浅井戸(本) 井戸合計(本) 給水人口(人)
利水状況
ミャンマーの水は様々な用途に利用されています
家庭内利用:飲用、料理、入浴、洗濯、
庭の散水
消火用
工業用
農業用
〔使用用途別利水状況〕
家庭用8%
工業用 3%
農業用89%
地表水と地下水全体の内、89%が農業なのです
家庭内消費は8%、工業用はさらに3%に過ぎません。
4月の「水掛祭り」における大規模利用
上下水道
ヤンゴンの給水および衛生システムは、英国統治時代によりヤンゴン市の30平方マイル以内の地域に設置された設備を、過去100年にわたり使用し続けています
1人当たりの水消費量は30ガロン/日、下水利用はガロン/日と思われます
給水量全体の約80%がヤンゴン市周辺の貯水池から供給され、約20%が処理施設で処理された地下水で、利用者には本管、準本管ならびに配水管を通じて供給されているのです
水処理施設の多くは凝固、凝集、ろ過ならびに消毒の各段階を一貫する機能を備えています
現在の給水量は1億6,000万ガロン/日だそうです
アジア開発銀行(ADB)は1990年代初頭以降、特に給水面でミャンマーの都市部における多くのプロジェクトに資金提供してきました
総額5億3,100万ドルのADB基金のうち、約3,600万ドル(6.8%)が給水および他の都市インフラ整備に振り分けられたそうです
給水(上水道)の現状
水はInya湖、およびKandawgyi湖、Gyobyu、Hlawgar、Phyugyi の各貯水池、ならびにNgamoeyeikダムを水源としています
対象外のエリアでは、住民が自分たちの敷地内に個人で井戸を掘ったり、販売人から水を購入したりしています
古都マンダレーでは、 水は、Nandawshate湖、Yeni川、KindaダムならびにSedawgyiダムを水源としています
ミャンマーの首都ネーピードーでは、管井戸、貯水池、 Mingalar湖、ならびにNgaliteダムを水源として配水しています
この主要3都市は使用した下水を含めた汚水は、家庭汚水、工業汚水ならびに農業汚水に分類され、汚水処理プラントに流入します
家庭汚水は市街地にある都市オープン排水パイプシステムや通常処理施設に流れ込みます
市の管轄外の区域では、個々の世帯が、準都市部や農村部の人々の健康状態に影響を与えない形で汚水処理の自主管理をしています
工業団地
工業団地については、工業団地から出る工業汚水の処分については、大きな浄化槽を備えた下水システムを、工業団地の事業主体が建設しているのです
しかし、多くの工業団地では依然として汚水処理施設がないのが実情で、このため、各都市の開発委員会と地域政府は、汚水処理プラント建設の準備を進めています
ヤンゴンについては、Botahtaung郡Than Liat Soonに活性スラッジ汚水処理施設を建設し、完成させています
ヤンゴンは準都市部において共用の汚水処理施設を建設するための新しい定住圏を含む衛生プロジェクトに関する5ヵ年計画をしました
下水処理の現状
首都ネーピードーは、首都であることを踏まえ、新設された5郡に所在する政府所有のオフィスやアパートのビルには、全てのインフラ施設が完備されています
衛生面では、10年の耐用年数を持つ浄化槽がそれぞれの政府オフィスに設置済みです
また、下水システムも、様々な政府職員が居住する官営アパートに設置されています
処理施設から出る処理済の水は、農作物への散水には使用されない。農業用の水は貯水池やダムからポンプで汲み上げられています
人口の82.3%が良質な飲料水を利用しており、その内訳は都市部で93.2%、農村部で77.6%となっています
良質な飲料水を利用している世帯の割合が高いのはネーピードー:88%、マンダレー6%、ザガイン:81%で、最も低いのはラカイン州の38%です
水源として保護されていない井戸の使用率が高いのは、カヤー州:23.8%、カイン州43.9%、ラカイン州:37.2%です。多くの国内外のNGOや関連の国連機関(UNDP、ユニセフ、ならびにUN-Habitat)は、これらの地域に集中して活動しています
一般的に、都市部は農村部より水道の整備が進んでいるとされているのですが、ミャンマー全世帯のうち、住居まで配管が引かれている水道水を利用している世帯は、わずか4.1%に過ぎないのです
地域別では、チン州で31.3%と普及率が高くなっているものの、この地において導水に使用されている配管は竹製です
その他、カヤー州で10.6%、タニンダーリーで11.1%、ヤンゴンで11.3%となっている傍ら、1%未満の州や地域も存在します
水の浄化処理
ミャンマーにおいて、多くの人々は家庭で使用する水の浄化を行う習慣がなく、飲料用でさえ未処理のまま飲用しているケースもあります
家庭内で水の浄化を行っている割合は、全人口の34.5%と思われます。
水の浄化方法は、布でろ過:76.2%、煮沸:1.4%、水フィルター:0.6%となっています通常、最も使われている方法は布による浄化で、水を布切れに通すことにより、水中のゴミをろ過するというものです
また、全人口の12.2%は処理された水を使用しておらず、安全ではない飲料水使用の割合は33.1%にのぼると言われています
ミャンマーでは都市部と農村部、あるいは高所得層が住む地域と低所得層が住む地域において、安全な飲料水の使用に顕著な差がみられるのです
〔家庭内での水の浄化〕
浄化飲料水(PDW)
ミャンマーには様々な飲料水工場があり、精密ろ過、UV照射塩素消毒、逆浸透法といった様々な浄水方法で飲料水を生産している
しかし、どの浄水方法も一長一短があり、完全に信頼できるものがないのが実情です
浄化飲料水の飲用の習慣化
ヤンゴンの住民は、浄化飲料水(PDW)を飲むことが完全に習慣化されている
その他の市や町においても、浄化された飲料水を飲む習慣は都市部の住民に限られています
しかし、農村部へ近代的な店舗が進出するとともに、農村部の住民の間においても浄化飲料水を飲む習慣が広まりつつあります
浄化飲料水市場
ボトル入りの浄化飲料水は、様々なサイズで販売されていますが、最も売れているサイズは1Lと20Lのものです
1Lボトルの浄化飲料水は通常、レストラン、伝統的な飲食店、コーヒー&テイー・ショップ、ならびにバスや電車のターミナルに集まる一般客によって消費されています
これに対し、20Lボトルの浄化飲料水は主に住宅地、政府および民間企業のオフィスや病院などの仕事場に配送され消費されています
潜在的なマーケット需要
ミャンマーの総人口は5,148万6,253人であり、浄化飲料水(PDW)の潜在的需要者は1,290万4,955人と推定されます
1人当たり毎日1L消費するとすれば、PDWの消費量は1,290万4,955L/日となり、1年で47億1,030万8,575Lになります
現在の供給量は19億9,500万Lであり、数量的にはまだ27億1,500万L伸びる余地があることになります
現在の供給量19億9,500万L
潜在需要量27億1,500万L
ミャンマーの水事情は、理解できましたでしょうか
水源は豊富な国なのに、水利用については、インフラを整備しこれからの国です
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